評価: 9点/10点満点 ★★★★★★★★★☆
概要/あらすじ
日本史、世界史の両方に通じた著者が、弥生時代まで遡って、一気に現代まで「世界史と日本史のあいだ」を論じた本。
レビュー
世界の中の日本という切り口が新鮮
著者が指摘しているように、「世界の中の日本」としての歴史を論じた本は読んだことが無かったので、本書の内容は新鮮だったし、単純に読み物として面白かった。
神話に隠された歴史や、キリシタン大名の裏の顔など、歴史の教科書ではあまり紹介されない事項が、最新の研究を踏まえて書かれており、とても興味深い。また、日本と同時代の世界の情勢が常にセットで書かれているので、世界の中の日本の立ち位置もわかりやすい。個人的に印象的だったのは、九州のキリシタン大名による奴隷貿易が横行したことが、豊臣秀吉がバテレン追放令を出した原因のひとつだという内容。初めて聞いたので新鮮だったし、教科書の記述だけでは見えてこない背景が理解できる。こういう内容が盛りだくさんなので、日本史好きにはぜひおすすめしたい。
やや中国・韓国史に寄り気味か
ただし、本の6割くらいは「世界史」というより「中国・韓国史」との関わりについて論じられている印象で、もう少し他の地方との関わりについてページを割いても良かったかなと思う。ただ、日本と深いかかわりがあるのはそのあたりになるので、仕方ないかもしれない。