【本の感想】「レプリカたちの夜」- 工場に現れた謎のシロクマ。不条理でよくわかんないけど面白い!

投稿日:2019年12月5日
最終更新日:2020年9月26日

評価: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆

レプリカたちの夜 (新潮文庫)

概要/あらすじ

動物のレプリカをつくる工場に勤める往本は、深夜に動くシロクマを目撃する。工場でつくったレプリカは動くはずがないし、本物のシロクマは現代ではすでに絶滅している。工場長の密命を受け、シロクマを追う往本だったが、奇妙な出来事が次々に起こり始め…。

 

レビュー

不思議だけど妙なリアリティがある世界観

舞台はおそらく近未来。動物が少なくなった世の中で、往本の工場は動物のレプリカをつくって売っている。その工場で突如現れた動くシロクマを追跡するという、一見すると荒唐無稽な設定。

ただ、レプリカの製造過程や材料の描写などが詳細に行われていて、妙にリアリティを感じる。そのアンバランスさのせいか、話の内容はなんだかよくわからなくて落ち着かないけど先を読みたくなるという、不思議な感覚を味合わせてくれる。

 

クセのある登場人物の奇妙な掛け合いも魅力

登場人物もクセがあって個性的な面々ばかりで、往本との掛け合いも独特で面白い。毒舌だけど鋭い感性をもつ女性・うみみずさんや髪が薄いけどモテモテの粒山、終盤で出てくる謎の女性や河童など、一度読んだら忘れられないインパクトがある。

これだけアクが強いキャラクターを集めたら食傷感が出そうだが、これらの登場人物が絡み合って奇妙にストーリーが展開していき、不可思議な世界にいつの間にか巻き込まれてしまった。

ただ、ちょっとライトノベル的なセリフ回しの雰囲気も感じるので、好みは別れるかもしれない。私はおおむね楽しめたが、登場人物のうみみずさんの長セリフはちょっとダルかったかも。

 

はっきりした結論は無いが想像が膨らむ

後半になるにつれて、不条理さは加速していく。物語の真相も断片的にはわかってくるんだけど、やっぱりよくわからない。そんなこんなでいつの間にか話は終わる。

正直なところあまりスッキリした終わり方ではない。ただ、「もしかして往本は…」「結局あのレプリカたちは何だったんだろう」と色々と想像の余地がある終わりになっている。

不条理な雰囲気が好きな人や、自分で色々と想像を膨らませるのが好きな人にはオススメしたい。そうでない人も、興味があればこの不条理な世界観を体験してほしい。

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投稿者: wakky

映画と旅行が大好きなエンジニア。お酒、ゲーム、読書も好き。

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