評価: 7点/10点満点 ★★★★★★★☆☆☆
概要/あらすじ
スティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」を日本に紹介したジェームス・スキナーが、リーダーのあるべき姿を問い直し、21世紀を生き抜くための新しいパラダイム『原則中心リーダーシップ』について語る本。
レビュー
自分のなかで「ぶれない軸(原則)を持つ」
一言で言うと、自分のなかで「ぶれない軸(原則)」を持つための方法をのべた本。誰もが迷うことを決めて責任を負うのがリーダーであって、それを実行するときに「原則」に忠実に従って実行する。
そのアプローチを実行するために、色々なトピックを教えてくれる本。「問題は外にあると考えるならば、その考えこそが問題である」「問題は会社にあるのではない。従業員にあるのではない。環境にあるのではない。問題は、それらを見るあなたの目にある」など、印象的な言葉も随所に散りばめられている。
印象的な著者の経験談も面白い
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)ができていない高知のとある工場のコンサルをまかされた著者が、一言も話さずにひたすら自ら掃除を行い、やがてそれが広まって全従業員が掃除するようになったエピソードは印象深いし、周りを動かすことに対する重要な態度を表していると思う。著者はこのことを、以下のように表現している。
外の世界を変えようと思えば、まず内の世界を変えなければならない。つまり、自分自身を変えてからでないと、会社などは動いてくれない。
肝心のリーダー論も満載
リーダーにとって必要な態度や行動についても、具体的な内容が多く書かれている。
- 模範に勝る説得はない。
- 仕事を任せるときは「手段」を否定しない
- 何か問題が起きても部下は悪くないし、誰がやったのかという質問をしてはならないと心がける
- 低コストの実験を多くする
なぜそれが必要なのかは、ぜひ本を読んで欲しい(笑) このほかにも具体的な心がけや行動の指針がたくさんあるので、手元に残しておいて、悩んだ時に読むのにも良さそう。
新米リーダーには少し難しいが、いつかは役に立つ
組織論とかシステム論の話は、私が知りたい内容に対しては少しスケールが大きすぎたかな。自分のリーダーシップを組織全体に波及させたいと考えてる人には役立つかもしれないが、ひよっこリーダーとしては自分の周りから少しずつやっていきたい。ただ、大局を知るという意味では勉強にはなった。
全体的にはとても有用な知識がつまった本だが、「リーダーは任命されるのではなく、決意してなるものだ」という主張で話が進むので、会社でリーダーに任命されたけどどうしていいかわからない…という時に読んでも、すぐに役立つわけではない。
ただ、リーダーを経験して慣れてきたときに、自分がやりたいことや、チームを導きたいところはどこだろう?と考えたとき、指針になってくれる本だと思う。