【本の感想】「モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 」- 渇けない世代への熱いエール

投稿日:2019年10月2日
最終更新日:2021年3月14日

評価: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆

概要/あらすじ

なぜ、あなたは稼ぐために頑張れないのか? 「上の世代」と違い、生まれたころから何もかもが揃っていた「乾けない世代」は、金や物や地位のために頑張ることができない。しかし仕事がなくなっていく時代には「乾けない世代」こそが希望になる。

「乾けない世代」の価値観をするどく分析し、これからの時代をつくっていく世代にエールを送る。

 

レビュー

ものが溢れた時代に育った「渇けない世代」に向けた本

戦後の「ものに飢えた」世代に対し、ものが溢れた時代に育った「無いもの」への執着がない世代を著者は「乾けない」世代と呼んでいる。

残業するよりも、早く家に帰って家族や気のおけない仲間とご飯を食べたい。出世するより自分の好きなことに没頭したい。思い当たる人は、渇けない世代のひとりではないだろうか。

この本では、どうやって渇けない世代がモチベーションを育んでいけば良いかについて述べている。作者の「乾けない」世代への洞察力はするどく、まさしく乾けない世代の私にとってはとても説得力があったし、納得できる内容だった。

 

世代間で考えが合わないのは、幸福の価値観が変化しているから

アメリカ人心理学者のセリグマンによると、人間の幸福には達成、快楽、意味合い、没頭、良好な人間関係の5つに分けられる。

著者によると、団塊世代以前は「達成」「快感」を重視していた。頑張って働いて目標を達成し、ご褒美として贅沢な料理やワインを飲み、綺麗な女性と一夜を共にするなど、身体的、心理的、社会的な快楽を味わうことが幸福の形だった。

一方で、乾けない世代は「意味合い」「没頭」「良好な人間関係」を重視している。出世するために残業して死に物狂いで働くより、自分が頑張る意味が持てるものに、自分が好きな人たちと、とことんハマる。

このあたりの解説もとても納得感があり「そりゃ世代間で話が合わないはずだわ」と痛感した。

 

これからの時代の働き方に対する考察もするどい

「偏愛こそが人間の価値になる」という章では、いかに自分の「好き」をみつけるかが人生の幸せへの鍵となるという話が印象的だった。

一方で、好きなことを好き勝手にやれば良いのではなく、周りの信頼を得ることが大原則であることをしっかり強調している。このあたりはマッキンゼーなどでしっかりとビジネス経験を積んできた著者の言葉なので、重みがある。

単純にモチベーションを挙げようと言う話だけではなく、昔よりも複雑でより高い水準が求められる世の中で、多様性の重要性をとき、どうやってそれぞれの強味や弱味を知り、認めあっていくかという働き方についても述べている。

著者のボランティアの話や議事録の話は、著者の他の本でも読んだことがあったので少し退屈だったが「乾けない」ことに悩みを抱いている人は、読んでみると何か発見があるかもしれない。


投稿者: wakky

映画と旅行が大好きなエンジニア。お酒、ゲーム、読書も好き。

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