評価: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
レビュー
1986年に出版されて以来読み継がれるロングセラー
私の奥さんが昔買って、本棚に置いてあった本。パラパラとめくってみたらなかなか面白く、最後まで読み切ったので久々に本の感想を書いてみる。お茶の水女子大の名誉教授だった著者の外山滋比古氏が書いた本なのだが、1986年に出版されて以来ロングセラーになっており、今でもよく売れている様子。
お堅い学術書というわけではなく、筆者の経験も交えたエッセイ風な書き方になっている。また、文章もそんなに古い感じはしないため(後述の通り内容的に古さを感じる部分もあったけど)、スラスラと読めて良い。
「グライダー人間」を脱却するために必要なヒントが散りばめられている
本の冒頭で、学校教育は教科書に引っ張られるだけで自力で飛ぶことができない「グライダー人間」の訓練所になっていることを指摘し、コンピューターが発展してきた現代では、仕事を奪われることを示唆している。
内容的には、現代で自力でも飛行できるエンジンを持った人間となるために、創造的な思考を整理するための基本的な考え方やテクニックなどがメインになる。
- コンピューターが発展した現代では、情報を記憶するより「捨てる」ことが大事
- 物事を考えすぎずに「寝させる」ことも大事
- 整理、抽象化が高度の思考につながる
といったあたりはなるほどな~と思ったし、今まで自分には無いアイディアもあったので勉強になった。
少し内容に古さを感じる部分もあり
1986年に書かれた本ということもあり、図書カードやアイディアノートなどのテクニック的な内容は少し古さを感じた。このあたりは今だったらPCを使ってもう少しうまくやれる方法はありそう。
ただ、あとがきで著者も書いてるように、この本の本質はハウツー的なテクニックではなく「考える」とはどういうことか、ということのヒントを与えてくれることかなと。
人によっては「なんだそんなことか」と思う内容も多いかもしれないが、そういったことを一つ一つ立ち止まって「考える」というこの本の姿勢自体もなかなか面白く、読みものとしても楽しめる一冊だった。