【本の感想】「ガダラの豚」- 新興宗教、社会的仕組みとしての呪術、そしてサイキックバトル!?

投稿日:2020年4月9日
最終更新日:2020年9月26日

評価: 7点/10点満点 ★★★★★★★☆☆☆

ガダラの豚 1 (集英社文庫)

概要/あらすじ

アフリカの呪術医研究の第一人者である大生部多一郎を主人公として、新興宗教にのめりこんだ妻・逸美の奪還、8年前に娘・志織を亡くしたアフリカでの呪術師との対峙、そして日本に現れた呪術師との壮絶な戦いを描いたアドベンチャー小説。

 

レビュー

上巻:新興宗教との対峙

私が読んだ文庫版は「ガダラの豚 I」「ガダラの豚 II」「ガダラの豚 III」の3巻構成になっているので、それぞれの巻ごとに感想をつらつら書いていく。

まず上巻である「ガダラの豚 I」では、新興宗教にはまってしまった主人公・大生部の妻である逸見を奪還するストーリーが中心になっている。新興宗教にはまってしまう心理や、信者を洗脳するプロセスなどはリアリティがある。

オウム真理教の事件をモチーフにしていると解説に書いてあったが、実際にこういうことが行われていたと思うとなかなか恐ろしい。ただ、そういった恐ろしさだけでなく逸見奪還をユーモアを交えたアドベンチャーとして描いているので、読んでいて楽しい。

この上巻ですんなりとガダラの豚の世界にハマることができた。

 

中巻:社会的な仕組みとしての現実的な呪術

「ガダラの豚 II」の舞台はアフリカに移る。ここではアフリカで社会の仕組みとして定着している呪術をはじめとして、アフリカの経済事情や食文化などが細かく描写されており、いちいち感心しながら読み進めることができた。

呪術というと人を魔術で殺すとか超常現象的なことを想像しがちだが、人々の行動を律するための調停的な役割をもっているなど、リアリティのある文化としての呪術を描いているのが非常に面白い。

小説としてもアフリカの奥へ奥へ進んでいくストーリーはワクワクするし、呪術師との対峙も緊張感がある。ただ、少し中盤が長すぎてだれてしまった感じはある。個人的にはもう少しテンポよく進めてほしかったかな。

 

下巻:突然開幕するサイキックバトル!?

「ガダラの豚 III」では舞台が日本に戻り、呪術師との対峙を描いている。

前巻までリアリティのある話だったが、この巻から急に呪術が現実を離れていて正直とまどった。

社会的な役割としての呪術を描いてきてたのに、呪術師が魔法チックな呪術で人を呪い殺しまくったり、大勢の人間が一気に洗脳されたり、仏教のお坊さんがアフリカの呪術師とサイキックバトルしたり、いろいろな面でカオスな展開になってきている。

中巻までの雰囲気が好きだったはガッカリするかもしれないが、まぁこれはこれで楽しいので個人的には楽しめた。

全体通すとかなり長い話なので人には気軽にオススメできないが、あらすじを読んでピンときたら、まず「ガダラの豚 I」だけでも読んでみるとハマるかもしれない。

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投稿者: wakky

映画と旅行が大好きなエンジニア。お酒、ゲーム、読書も好き。

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