評価: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
概要/あらすじ
「仕事にやりがいを感じない」「でも失敗したくない」そんな悩みに答える究極のメソッド!終身雇用がくずれつつあるいま、「転職」はビジネスマン必須のスキルです。逆に転職しないと決め込んでるほうがリスクです。
とはいえ、長年働いた会社を退職するのは勇気がいります。そこで12回転職した「金融のプロ」山崎元が、経験に基づき最も合理的な「転職の考え方」アドバイスします。
(Amazon 説明文より)
レビュー
転職の教本としてだけでなく、キャリアを考えるきっかけに
私は別に転職を考えているというわけではないのだが、キャリアについて色々考える年頃になったので手に取ってみた本。
本書の中で「筆者は常に、転職志望者の味方であるつもりだ。」と断言しているだけあり、転職に悩む人に向けたポジティブなアドバイスに溢れている。例えば、本文から引用すると
転職は、一生を左右する一大事だが、1回の転職だけで一生が決まるわけではない。
という言葉や、転職が「時間」「お金」「自由」の比率を大きく変えるイベントになりうるとしたうえで、
「個人の自由は会社の都合に優先する」とハラに納めると、行動の選択肢が拡がるし、さっぱりとした気分になる。
という言葉は心強さがあったし、12回も名だたる企業を転職してきた著者が言うからこそ重みがある。転職に役立つトピックはもちろんのこと、自分のキャリアを考えるうえで役立つアイディアも多く書かれている。
転職をするべきかどうかの指針にも
本書で紹介されているドラッカーの言葉は、今後転職を迷ったときの指針になると感じた。ドラッカーは組織を辞めるべきときとは
「組織が腐っているとき、自分がところを得ていないとき、あるいは成果が認められないとき」
だと言っている。この中でひとつでも引っ掛かりがあるなら、転職を考えてみても良いかも。この他にも、転職をどう考えるべきか、というアイディアがふんだんに含まれているので、転職するかどうか悩んでいる時には力強い指針になりそう。
普遍的な内容が多く、今の仕事でモヤモヤしている人にオススメ
ビジネスプラン持ち込み型転職など、一部敷居が高く感じて読み飛ばしてしまった部分はあった。また、著者は金融畑の人なので、他業種の人に全く同じようには当てはまらないのでは、と思う部分も少しあった。
ただ、本書に書かれている内容はビジネスマンとして普遍的なものが多く、自らの経験と合理的な判断に基づいているので説得力がある。巻末にある著者の転職年表をも面白い。著者自身が失敗と認めている転職もあるが、そのチャレンジ精神と向上心に頭が下がる。
今の仕事で何となくモヤモヤしている人や、転職しようか迷っている人におすすめしたい一冊。