評価: 9点/10点満点 ★★★★★★★★★☆
概要/あらすじ
町で見かける、さおだけ屋はなぜ潰れないのか?ベッドタウンの住宅街にある高級フレンチはどうやって収益を出しているのか?日々の生活の「身近な疑問」から考えはじめて、会計の重要なエッセンスを学ぶことができる一冊。
レビュー
会計の本質を全力で”やさしく”伝える
まず、「会計の本質を全力でやさしく伝えたい」という熱い思いがプロローグからひしひしと伝わる。私も何冊かやさしめ(だと読む前は思った)の会計学入門書を読み、途中で投げ出したことが何度かある。なんでそうなったかというと、単純に色々な数値の解説を羅列されても「興味が持てない」から。
そんな私でもこの本のプロローグを読んで心強い気持ちになり、読み進めていった。
身近で共感できるエピソードは、興味が勝手に湧いてくる
各章はエピソードごとにまとめられており、タイトルのさおだけ屋の話は他のもちろん「ベッドタウンに高級フランス料理店の謎」とか「あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか?」など、身近で共感できる内容なので自然と本の内容に入っていける。
また、形式張った会計の知識だけではなく、
①1000円のモノを500円で買う ②101万円のモノを100万円で買う
だったら「費用の削減はパーセンテージで考えるべきものではなく、絶対額で考えるべきものなので、②の方が会計的には良い」とか、日常生活の節約などにも役に立つ話が多い。
「本業と副業はバラバラになっていてはいけない、お互いをつなげて考えろ」という話を連結経営の話と絡めて会計の話につなげるといった巧さも随所に感じた。また、個人的には「手形」や「掛」など、たまに聞くけどよく内容を知らなかったものの意味や、会社のキャッシュフローのイメージなども掴むことができたのも嬉しい。
読みものとしても面白く、タイトルに興味を持った人にはオススメ
一部のエピソードでは無理やり日常生活に結び付けようとして、少しこじつけになっている部分があった気がした。それでも全体的にとても納得感があり、会計の本質をふんわりと理解できたように思う。
また「数字に強い弱いとは何か」「会計士に必要なのは加減乗除だけでいい」など、読みものとしても面白い内容になっている。巻末ではことわざを会計に当てはめてみたり、用語解説もしっかりのっていたりと、最後までわかりやすく伝えようという努力が感じられるのも良い。
本のタイトルに興味を惹かれ、会計に少しでも興味がある人であれば、楽しんで読むことができると思う。