評価: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
レビュー
タイムトラベルをテーマにしたSFの名作
「SF 名作」でググると多くのWEBサイトとして紹介されているのが本作。前から気になっていたので今回読んでみた。
1957年にアメリカで出版され、タイムトラベル小説の名作として世界的に支持され、「時間旅行もの」のジャンルを確立させ後世の作品に大きく影響を与えた古典的作品とされる…とWikipediaに書いてあったので、かなり長く読みつがれている。
ちなみに本の後書きで知ったのだが、最近日本で映画化されたらしい。最近、日本語訳の新装版が発売されたのもその影響のようだ。
今読んでも新鮮な西暦2000年の世界
コールドスリープ(人間を冷凍保存して、未来で目覚めさせる技術)がテーマとなっているが、作中では1970年にコールドスリープに入って2000年で目覚めるという設定なので、2000年が近未来として書かれている。
作者の2000年像はなかなか鋭く、この本を読んでいる2022年現在でも進歩の方向性は現実に近いものがある。ただ、まだまだ作中のような技術に現実は追いついておらず、今読んでも「こんな技術あったらいいな」と思える内容で、新鮮な気持ちで読むこともできた。
終わり方は爽やかだが…
全体としてはタイムトラベルという題材を使った伏線もあって楽しいし、最後も爽やかな終わり方ではあるのだが…。
個人的に前半の展開が胸糞悪すぎる。前半の展開があったからこそ、ラストのどんでん返しの爽快感が増している面はあると思うのだが、ちょっと読んでいて辛かったかな。
とはいえタイムトラベルを題材にしたSF描写、人間ドラマ、そして猫ちゃんへの愛など見どころは多く、名作と呼ばれているのも頷ける作品だった。