満足度: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
※ネタバレしないように気をつけていますが、あらすじなどは書いているので「一切内容は知りたくない!」という方はご注意ください。
レビュー
ルソーの「夢」に酷似した作品。手がかりとなるのは不思議な古書
かなり前に話題になったのでこの本の名前は聞いたことがあったのだが、あらすじを読んで面白そうだったので買ってみた。ルソーの「夢」に酷似した作品を巡り、2人のキュレーターと研究者が真贋判定をするために、手掛かりとなる不思議な古書を読み進めていく…という話。
ルソーとピカソを主軸に、絵画や美術をテーマにした小説。今までこういった内容の小説は読んだことがなかったので、新鮮な気持ちで読むことができた。
この2人の作品については有名な絵画くらいしか知らなかったのだが、2人の生涯や交流についても描かれており(もちろん小説なのでフィクションも入っているだろうが)ルソーとピカソについても知識も深まった。
絵画に疎くても楽しめる。ラストは必見
謎の絵の真実を探るストーリーも面白いのだが、美術館のキュレーターの仕事や、絵画のオークション事情など、色々と美術館や絵画の取引に関する内容が描かれている点も個人的に面白かった。
ただ、私が絵画に疎すぎるため、話の中で絵画の作品名が出てきてもどんな絵なのかわからず、いちいちググって調べたので読むのに少し時間がかかった。といっても私はどんな絵画なのか興味があったので調べながら読んだが、調べずに読み飛ばしても十分楽しめるとは思う。
ラストは驚かされたし、爽やかさもあって読み応えのある一冊だった。絵画に疎くても、ピカソやルソーについてなんとなくでも知っていれば楽しめるはず。