満足度: 7点/10点満点 ★★★★★★★☆☆☆
レビュー
有名な絵画に潜む「怖さ」
前回、楽園のカンヴァスを読んだためか私の中で美術熱が高まってきたので、昔気になっていたけど読まずじまいだった本を買ってみた。
有名な絵画の「怖さ」について作家であり文学者でもある著者が解説をするという内容で、1つの絵画ごとに節が分かれている。私はあまり絵画に詳しいわけでは無いが、私でも知ってる絵がいくつもあったので結構有名な絵を中心に集められていると思う。
「綺麗な絵だな~」くらいの感想しかもっていなかった絵についても、その絵が描かれた時代背景だったり、画家の生い立ちを知ることをでまた違って見えてくるという体験ができて面白い。
また、この本で初めて知った絵も多かったのだが、どの絵もインパクトがあり一度見たら忘れられないようなものが多いので、絵に詳しくなくても楽しめる。
絵画が描かれた時代背景や怖さを知ることができるのは良いのだが…
面白い本ではあったのだが…全体的に、客観的な事実、一般的な説、著者の主観が混ぜこぜに書かれているような印象を受けた。そのためか「これは〇〇だから怖い絵なんだ!」といわれてもイマイチ納得できなかったり、こじつけに思えてしまったりした部分もある。
また、この本ではメインの絵の解説の補足として、途中で別の絵が白黒で挿入されていることがある。補足の絵を使った解説の中で「この絵では赤色だったが、この絵では紫色になっていた」みたいに色について言及がある部分があったのだが、色について言及があるものについては補足の絵もカラーにして欲しかったかな(印刷のコストの都合もあるのかもしれないが)
色々と文句も書いてしまったが、作品の時代背景の解説は勉強になったし、絵の「怖さ」という観点で書かれた解説は斬新で読んでいて面白かった。