評価: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
概要/あらすじ
狩りを生業にしながら、山を守り続けてきたマタギたち。そんなマタギたちが体験した奇妙な出来事や災害など、筆者が各地で集めた実話をまとめた本。
レビュー
山にまつわる興味深いマタギの話が満載
マタギが山の中で見た人影や謎の白骨、雪男を求めてヒマラヤに行ったマタギや山の神の祟りなど、著者が文献や実際にマタギから聞いた体験談をまとめたのが本書。
事実をベースに書かれていることもあって臨場感がある文章だし、各章や節には思わず読みたくなってしまうタイトルがつけられているので、どんどん読み進めてしまう。
内容も霊的なものから未確認生物に関するもの、クマとの戦いや災害体験など、バリエーションに富んでいるので全然飽きない。まさに「事実は小説より奇なり」という言葉を実感できる本になっている。
森を守るマタギたちに伝わる言い伝えやしきたりなど、民俗学的な面白さもあり
物語としても面白いのだが、マタギたちの間に伝わるルールや山の神の伝説など、民俗学的な面白さもある。内容としては少し性的なものも含まれているので苦手な人もいるかもしれないが、マタギたちに伝わる儀式などの様子は生々しくも非日常的な描写でこれまた面白い。
また、クマの習性や森を守るための工夫など、歴史に裏付けされたマタギの知識を学べる点も良い。いままでマタギといえば「山でクマを取ってた人達」くらいの認識しかなかったが、この本でマタギの生活や大事にしていることなどを学ぶこともできて、勉強になった。
ややまとまりに欠けるが少しずつ読める
全体的に興味深い話ばかりなのだが、各地の話を短編的にまとめているので統一感は無く、話によってボリュームもまちまち。とても短い話もあって「え、もう終わり?」と拍子抜けした部分もあった。
ただ、短編集みたいなイメージで読めば、毎日1話だけ寝る前に読んで不思議な山の世界に思いをはせる…といった読み方もできる。
私は最近登山を始めたこともあって、山の歴史やしきたりに興味があったので、最後まで楽しく興味を持って読み進めることができた。山登りや自然が好きな人はきっと楽しめるはず。