【本の感想】『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』 – 衝撃的なアイディアのオンパレード

投稿日:2019年9月25日
最終更新日:2021年3月14日

評価: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆

概要/あらすじ

「あの人」の期待を満たすために生きてはいけない。世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされるアルフレッド・アドラー。

「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学を哲学者と青年の対話篇形式によって解き明かしていく。

日本におけるアドラー心理学の第一人者(日本アドラー心理学会顧問)と、アドラーの著作を多数翻訳している著者が送る、対人関係に悩み、人生に悩むすべての人に贈る「まったくあたらしい古典」。

 

レビュー

青年と哲学者の対話形式で、堅苦しさを軽減

本書は青年と哲学者の対話形式で進行していくが、ストーリー調になっているので堅苦しさを感じさせない。理解するのが難解といわれるアドラー心理学だからこそ、こういう形式にしてるのかも。

一部、青年が暗すぎるというか、ひねくれすぎていてイライラすることもあった。しかし逆を言えば、人間のダークな感情を青年というキャラクターでうまく表現しているともいえる。

 

衝撃的だが納得のいく内容のオンパレード

「トラウマは存在しない」とか「自分の不幸は、自分自身が選んだもの」といった、一見理解しがたいような内容のオンパレードだが、そのどれも哲学者の解説を聞くと納得できる。

なかでも印象的だったのは、「他者の課題を切り捨てる」という考え方。ざっくり言うと「自分の選択について、他者がどのような評価を下すのかは、他者の課題であって自分の課題ではない。だから、自分にできることは、自分の信じる最善の道を選ぶことだけ。」という考え方は私の中で斬新だったし、確かにその通りだなと思う。

だからといって、何も人のことを考えずに行動するわけにはいかないが、過度に周りの目を気にして自分の人生を狭めてしまわないように、心に刻んでおきたい言葉だった。

 

理解はできても、実践できるかどうかは自分次第

本の紹介で使われている「まったくあたらしい古典」という名に違わず、斬新な考え方がわかりやすく紹介されており、ベストセラーになったのもうなずける一冊だった。

ただ、本の中でもあるように、ここに書いている内容を実践できるようになるには相当の時間と強い気持ちが必要になる。読んですぐに実践できるテクニック本のようなものが欲しい人には合わないかもしれない。

あと、細かいところを言うと、後半で急に青年がものわかりが良くなり、哲学者の友達みたいになったのがやや嘘くさいというか、話の進行の都合を感じさせたかも。それでも、人間関係や人生に悩んで身動きが取れなくなってしまったときに、ぜひ読み返してみたい一冊。

 


投稿者: wakky

映画と旅行が大好きなエンジニア。お酒、ゲーム、読書も好き。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください