評価: 7点/10点満点 ★★★★★★★☆☆☆
概要/あらすじ
メタ思考とは、「物事を一つ上の視点から考える」こと。この本では、メタ思考を実践するための二つの具体的な思考法である「Why型思考」と「アナロジー思考」を紹介するとともに、それをトレーニングするための演習問題が用意されている。
レビュー
メタ思考ができてない人の特徴に当てはまり……
「物事を一つ上の視点から考えてみる」という話はよく聞くが、具体的にどうすればいいかはよく知らない。そんな私の目に止まったのがこの本。
このような思考を、この本ではメタ思考と読んでいる。最初にメタ思考ができていない人の特徴が挙げられているが、
常に具体的でわかりやすいものを求める人
というのはまさに私のことだなと。時には抽象的な考えも必要だとは思いつつ、理系のサガか、どうも具体的なものを求めてしまうところがある。序盤のこの内容に心をつかまれて、読み進めた。
「Why型思考」と「アナロジー思考」の二本柱
あらすじにも書いた通り、この本は「Why型思考」と「アナロジー思考」の二本柱で構成されている。例えば、Why型思考については、
「その先のさらに先」の最終目的はなんなのか?(「なぜのなぜ?」)
ということの重要性が論理だてて説明されている。自分が思いつかなくなるまで上位目的を(なるべく即座に)たどっていく練習をすれば、よりメタな視点を持つことができるのかも。
頭ではわかってるつもりだけど、目の前の仕事にいっぱいいっぱいになっている時はできていない気もするので、少し意識してみたいと思った。
アナロジーは、ざっくりいうと「ある分野のものごとを「抽象化」して、それを別の分野で「具体化」する」ことで、新しいアイデアを生み出すということ。これについても詳しく解説されているが、なかでも以下の文章は印象的だった。
アイデアの豊富さというのは、いかに新しいアイデアを異なる世界から借りてくるかに依存しています。陳腐なアイデアしか出てこない人は、狭い世界や業界の中、あるいはすでにヒットしている類似商品から発想するからです。
これはグサッときたというか、アイデアを出すのが苦手な私にとって必要な観点かなと思った。目に見える表層的な部分ではなく、目に見えない根本的で本質的な部分は何かを考える習慣をつけないとなぁと感じた。
メタ思考を鍛えるきっかけに
本書を読んだからすぐにその能力が身に付くわけではないが、思考の浅さを見直し、習慣を変えるきっかけにはなると思う。最後に、メタ思考を鍛えるために著者が3つのヒントを与えてくれているので、この部分は覚えておきたい。
- 自分に「突っ込み」を入れる(もう一人の自分の目線を持つ)
- 性格悪くなる(疑ってかかる)
- 共通点を最適な抽象レベルで探す
少し不満を言うと、演習問題に対する解説が絞られ過ぎている気がした。もちろん問題に対する解答の一例を挙げているのだと思うが、いくつか異なる視点からアナロジー的に考えた例を挙げてもらえると、より理解が深まったかなと思う。
とはいえ、メタ思考の方法論の基礎は理解できたと思う。何かを見聞きした時に、表面だけ知って終わりだけではなく、その裏に隠れた本質や理由を考える癖をつけ、アナロジーを駆使して他のアイデアを生み出す癖をつけていきたい。