評価: 9点/10点満点 ★★★★★★★★★☆
概要/あらすじ
経営学者であり、一橋大学の教授でもある著者が、色々なビジネスマンの相談に対して「好きなようにしてください。」と丸投げしつつも、独特の目線でアドバイスを送る本。
レビュー
無努力主義に激しく共感
まず、著者の唱える「無努力主義」に激しく共感した。というのも、私の最近の方針や常々ぼんやり思っていたことを明快に言語化して提示されたように感じたので、そう思ったのかもしれない。無努力主義の定義を本文から引用すると、
質量ともに一定水準以上の「努力」を継続できるとすれば、その条件はただ一つ、「本人がそれを努力だとは思っていない」、これしかないというのが僕の結論でありまして、これを私的専門用語で無努力主義と言っています。
ということ。これだけ見ると本当かいな?と思うかもしれないが、この結論に至るまでに、著者の経験に基づいた理論が面白おかしく展開されており、楽しみながら納得することができる。「好きこそ物の上手なれ」ということわざもあるが、本当にその通りだなぁと思わせてくれる内容だったし、「できるだけ自分の興味があることに力を注いでいきたい」と思っている、私のような社会人の背中を押してくれる。
社会人あるあるの質問に対するユーモアたっぷりかつ本質的な回答が良い!
本の内容だが、基本的には様々な悩みを抱える社会人の相談に回答するスタイルで書かれている。この相談内容がまた良いチョイスで、誰でも一度は悩むような内容が多くのっており、自分に当てはめて考えやすい。手元に一冊持っておいて、悩んだときに目次から知りたい内容だけ読む、という使い方もできる。
回答内容の文章の節々にオヤジギャグ的な古さは感じるものの、ユーモア満載でするどい考察に基づいたアドバイスが送られている。また、若者の一見稚拙な相談に対しても、バカにしたりせず本質を見てポジティブに回答する一方で、評価ができない上司や子供に自分の価値観を押し付けるような相談は手厳しく回答しつつも、最終的には知見に富んだアドバイスを送っている。
例えば「いい仕事をする」ということがどういうことか説明している部分は、「仕事とは何か?」という問いに対する本質的な答えになっていると思うので、新社会人にはぜひ読んで欲しい。
「いい仕事をする」とはどういうことか。これにしても、答えは実に単純です。自分以外の誰かの役に立ったということです。大きな仕事を成し遂げたということは、すなわち自分以外の誰かに対して、大きな価値をつくったということです。
自分がやりたいことでも、人の役に立たないことは「仕事」とは言えない「趣味」に過ぎず、そこで得られるものは「自己満足」である。自己満足を得ることも重要だが、仕事の「成果」とは異なるものだ、という話は納得感があり、仕事をするときに非常に重要な考え方だと思った。
新社会人や生き方に悩んでいる人にオススメ
この本は、仕事とは何かということを考えさせてくれるし、生き方に悩んでいる人にもヒントをくれた。前述のオヤジギャグ的な文章は好き嫌いが別れるかもしれないし、後半は同じような回答の繰り返しになって冗長に感じる部分もあるが、悩みを抱えるあらゆる社会人にオススメしたい本。