満足度: 6点/10点満点 ★★★★★★☆☆☆☆
レビュー
※結末についてハッキリとしたネタバレはありませんが、映画の展開やシーンについて触れています
仮想世界で歌姫となった女子高生が謎の竜と出会う
田舎町に住む女子高生のすずは、母を亡くしてから大好きだった歌を歌えなくなってしまった。ある日、すずは全世界で50億人以上が参加している仮想世界「U」にベルというアバターをつくる。仮想空間で歌を取り戻したすずは、自らが作曲した歌を披露し、やがてUを席巻する歌姫となる。そんなとき、ある日のベルのコンサート中に、突如アザだらけの竜が乱入する。Uを暴れまわる竜の正体を暴く動きが激しくなるなか、すずは竜の抱える傷を知るために竜に席巻する・・・というお話。
連日テレビで宣伝しており、カンヌ国際映画祭にも出品されたということで話題になっていたので久しぶりに映画館で鑑賞。
オープニングの映像と歌は圧倒的だが…
開始してすぐ、すずのUでの姿である「ベル」が巨大なクジラにのってUの世界を歌いながら進むシーンで圧倒された。緻密につくりこまれた仮想世界と耳に残る力強い声。これはすごい映画だぞ・・・とかなり期待感をもった。
その後のUでのコンサートや、竜と自警集団「ジャスティス」の戦闘シーンなども迫力があるし、のどかな現実世界の描写とのコントラストも効いていて、映像的にかなりインパクトがある。久しぶりに映画館で観たせいもあるかもしれないけど、作中の歌はどれも印象的で耳に残った。
ただ、登場人物の心情についていけない部分があり、ストーリーにはイマイチ入り込めなかった。例えばベルが竜に惹かれる部分も、なぜ竜に惹かれて接近したかがよくわからなかった。「一目ぼれ」とか「傷が気になったから」とか色々理由はつけられるとは思うんだけど、そのために危険を冒して接触するかなぁと少し思った。
好みによって合う合わないはありそう
あまり書くとネタバレになりそうなので詳細は伏せるが、細かい部分で「いや、そうはならんやろ…」と思ってしまうような展開や、現実世界とUの切り替えがあいまいになってて「ここ設定変わってないか?」と思ってしまう部分があったことも、ストーリーに入り込めなかった理由かと思う。
個人的には高校生たちの日常の描写もほほえましくはあるものの、少し間延びしてテンポが悪いようにも感じられた。
とはいえ、Uという仮想世界での美女と野獣的な設定はなかなか新鮮で面白いし、ポイントポイントで感動できる部分もある。私は細かい部分が気になってしまった&登場人物の心情についていけなかったが、このあたりが気にならない人であればかなり楽しめると思う。