【映画】強烈な「無音」に圧倒されつつ見た新世界 – 「ファースト・マン First Man (2018)」

投稿日:2019年2月16日
最終更新日:2019年2月16日

満足度: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆

ファースト・マン オフィシャル・メイキング・ブック ビジュアル&スクリプトで読み解くデイミアン・チャゼルの世界

あらすじ

人類は月に行く。アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの強いメッセージにより、人類初の月面着陸計画はスタートした。数々の苦難や失敗を乗り越え、宇宙飛行士・ニールが最後に見たものは……。史上初めて月に降り立ったニール・アームストロングを中心に、NASAが1960年代に行った月面着陸ミッションをもとに描かれる実話。
(※以下、結末についてネタバレはありませんが、映画内のいくつかのシーンについて触れてます)

 

スクリーン越しの緊迫感や臨場感。技ありの映像表現

最初の飛行シーンからいきなり漂う緊迫感が印象的。荒々しい息遣いと、暗闇に浮かぶ美しい青い地球の水平線。ニールが宇宙に魅せられる動機づけを強烈に表現するとともに、観ている私も自然と映画に引き込まれた。わざわざ説明文をだしたり、人物にストーリーを説明させたりするのではなく「これが宇宙だ。この美しい世界を目指すことに理由はいらない」と映像によって説明しているように思える。

映画全体としても説明的なセリフは少ないが、登場人物の仕草や音、カメラアングルで、ピリピリした緊張感や本当に宇宙を見ているような臨場感が感じられた。監督の映像表現に対するこだわりが感じられる。

 

ハッとするような強烈な「無音」

特に印象劇だったのは、宇宙のシーンでの「無音」。映画館で観ていたけど、それまでの騒々しい打ち上げシーンから一転して、劇場は水を打ったような静けさに包まれる。あまりにも静かなので、ポップコーンに伸ばしかけた手を引っ込めたほど(笑)

なんでこのシーンが強烈に印象に残ったのか考えると、音が伝わらない宇宙の静けさを表現しているだけでなく、音が無いことで視覚が研ぎ澄まされ、目の前の美しい月が強烈に脳裏に焼き付いたからかなぁと。おそらく全部計算してやっているんだと思うが、このシーンにかける熱意が感じられる。

 

2時間20分は少し冗長?

この映画は、単純なアメリカ賛美の映画ではない。失敗続きのアポロ計画への批判もしっかり描いていたし、ニールと家族との関係も描いたヒューマンドラマでもある。全体通してかなり楽しめたのだが、少し映画の時間が長いかなと思った。全体的にシリアスな映画なので息抜きできるシーンも少なく、映画が終わるころにはやや疲労感を感じる。

無駄なシーンがあったとは思わないが、個人的には2時間程度にギュッと濃縮してもらった方が、より濃ゆくて印象的な映画になったかなぁとも思う。

 

静かな結末に込められた意味

ネタバレになりそうなので詳しくは書かないが、ニールが月で取った行動について劇場ではイマイチ意味がわからなかったので、少し考えてみた。もしかするとニールは、娘の姿をいつもどこかに求めていたのかもしれない。そして自分の考えうるなかで最も遠い場所にきたが、そこにも娘はいなかった。それで自分の中で踏ん切りがついて、ああいう行動をとった……と解釈した。

その後に妻と会った時の静けさも、ニールの心情を悟ったゆえのシーンなのかなと。これが正解かどうかはわからないが、受け取り方は個人の自由。全体的にとても楽しめたし、色々と想像の余地がある良作映画だった。

1+

投稿者: wakky

映画と旅行が大好きなエンジニア。お酒、ゲーム、読書も好き。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください