満足度: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
(※結末についてネタバレはありませんが、映画内のいくつかのシーンについて触れてます)
あらすじ
大人気プロレスラーだったラム。しかし今は落ち目でスーパーマーケットで働きながら週末にプロレスを続けている。そしてある事件を境に、自分の全てであったプロレスを続けられない身体になってしまう。 唯一の家族である娘との絆も失い、プライドもズタズタにされたラムが最後に下した決断とは……。
感想
失礼な話だが、落ち目のレスラーという役がミッキーロークにはまっていた。しかしもういい歳なのに身体がすごい。普段着のときに後ろで長髪を結んだ髪型も似合っており、素直にかっこいいと思った。
この映画は痛々しいプロレスを行った後の治療や、髪染め・日サロなどのお手入れシーン、ラムの駄目親父っぷり等、生活感満載のシーンをっかり見せている。そこが人間ドラマとして共感できる要因かなと思う。試合前の打ち合わせシーンも、アメリカのプロレス文化に触れる感じがして個人的に面白かった(※アメリカでは脚本どおりに試合するのが普通)。あと本筋とはあまり関係ないが、ラムのファンが「ラム、俺の義足だ、こいつでぶん殴れ」とか何とか言って義足渡してたシーンで笑った。こういうシュールなセンス好き。
収入を増やすシーンで惣菜売り場に出るところは観てて少しきつかったかも。それくらいちゃんと感情移入できたってことだけど。売り場に出るまでの時間を長くしてるのが緊張感出してて良かった。売り場に出る前に昔のリングの歓声を重ねる演出も。
終盤の娘と仲直りするシーンはちょっとあっさり仲良くなりすぎかなぁと思ったが。その後の展開を見て、まぁ納得。ラストシーンの終わり方は結構好き。その後を観ている方が想像できる余地がある。ラストはプロレス技とリンクしていて、ラムの生き様を凝縮したような、すごく良い演出だと感じた。
全体的にラムを痛々しいくらいまでに追い込み、最後にラムの居場所はプロレスしかないという結論に持ち込む過程が丁寧に描かれていたので、ラストシーンも違和感なく見られた。今年見た中でも上位に入る映画だった。