満足度: 9点/10点満点 ★★★★★★★★★☆
レビュー
※結末についてハッキリとしたネタバレはありませんが、映画の展開やシーンについて触れています
マルチバースとカンフーで世界を救う!?
優しいだけで頼りにならない夫、言うことを聞かない娘、経営するコインランドリーの税金と、様々なトラブルを抱えるエヴリン。そんななか、ある日突然「別の宇宙の夫」を名乗る人物が夫に乗り移り、別の宇宙の存在、そしてその宇宙達が脅威にさらされていることを知る。エブリンは「別の宇宙のエブリン」達の力を借りて戦いを挑み、家族を救おうとするのだが…というお話。
第95回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞など7部門を受賞したことで話題を呼んだ映画。私も最初はあまり興味が無かったのだが、アカデミー賞を取ったということで興味が出て久々に劇場で鑑賞。
結論から言うとめちゃくちゃ面白かったし、ちょっと今まで観たことが無いような映画で、アカデミー賞を受賞したのも頷ける作品だった。ちなみに入場特典でポストカードをもらえた↓
アクション、笑い、家族、人生、感動をぶち込んだてんこもりの映画
ストーリーとしては平行世界もののSFが軸になっているのだが、そこに爽快なカンフーアクション、バカバカしくブラック&お下品な笑い、家族の葛藤と絆、人生の後悔や希望など、いろいろな要素がぶち込まれている。
そのためかなりカオスな世界観になっているのだが、不思議とちぐはぐな印象は無く、絶妙に全ての要素が調和しており「エブエブ」という唯一無二の世界観をつくりあげている。他の宇宙と繋がるきっかけが突拍子もなくて少し戸惑ったが、すぐにこの不思議な世界に引き込まれた。
序盤に笑えるシーンやアクションで笑ったり興奮したりしていたら、後半で急に泣ける展開になってきて涙腺が刺激されたりと、観ている側も感情がジェットコースター状態になる。観終わった後は「すごい映画を観たなぁ」という謎の爽快感に包まれた。
映像づくりにもかなりこだわりを感じるし、登場人物が石になって字幕で会話が展開されるシーンなども印象的で、脳裏に焼き付くような演出だった。
ちなみに私は非常に楽しめたのだが、万人が楽しめるか?と言われると内容的に微妙な気はするし、実際Twitterでも「話についていけなかった」という感想をチラホラみた。「可能性で枝分かれした世界」というのはSFではわりとよくあるし私は結構好きな題材なので違和感なく入り込めたが、平行世界の世界観にある程度馴染みがないと、確かについていけないかも。
自分が楽しめるか?は正直鑑賞してみないとわからないと思うが、少しでも興味があればぜひ劇場で鑑賞していただきたい。