満足度: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
レビュー
※結末についてハッキリとしたネタバレはありませんが、映画の展開やシーンについて触れています
凄惨なシーンを見せ続けられて湧いてきた自分の感情に恐怖
「共感した」という意見はちょくちょくネットで見かけたが、ちょっと悲劇を一人の人間に対して詰め込み過ぎている気がして、あまりアーサー自体に共感はしなかった。
ただ、理想の自分と現実の自分のギャップに苦しみや、弱者を虐げる強者への怒りなど、普遍的な感情を煽るシーンが散りばめられており、知らず知らずの間に私の中にも「何を我慢しているんだ。やってしまえよ」という恐ろしい感情が湧いてきてしまったのも事実。
私もピエロのお面を被った群衆の一人になってしまうかもしれない…と考えると、ホラー映画とは違う怖さを感じる。
狂気が爆発したラストは凄惨なのにちょっとスッキリ!?
騙され、虐げ続けられてきたアーサー青年がジョーカーへと変貌するラストでは、ため込まれた怒りが暴力となって爆発する。さんざん悲劇を見せつけられてきたので、最後の展開は凄惨なのだが、恐ろしいことに少しスッキリしてしまった。
ときおり世界で起きる暴動や略奪に通じるものがあり、いろいろと考察も膨らみそうな内容。この映画を観た人同士であーだこーだ話し合うと、いろいろと自分の中で発展させられそうな映画になっている。
あとロバート・デニーロが出ているのは、オマージュ元の映画へのリスペクトがわかりやすく表れているので、映画好きならニヤリとする内容になっているのも嬉しい。
物議を醸しているがあまり警戒しすぎなくても良いかも
人間のもろさや怖さについて考えを深められるし、映画の展開もテンポが良い。
物議をかもしてるのも納得できる内容だが、よほど感受性が高くない限りはそこまで身構えるほどではないかな。一応ジョーカーはバットマンの悪役だが、バットマンを知らなくても十分楽しめる内容になっているので、ダークな復讐劇が好きならきっと楽しめるはず。
逆に言えばバットマンファンは「なんじゃこりゃ」と思ってしまう可能性もあるかも…。