【映画】「ノマドランド Nomadland(2021)」 – 喪失感や悲しみをかかえていても、それで良い

投稿日:2021年4月4日
最終更新日:2021年4月4日

満足度: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆

レビュー

※結末についてハッキリとしたネタバレはありませんが、映画の展開やシーンについて触れています

ノマドとなった人々の生き方を描く

主人公のファーンはネバダ州のエンパイアで暮らしていたが、主要な産業だった工場の閉鎖で街は衰退し、彼女も家を手放す羽目になった。ファーンは車に最低限の道具を積み込み、日雇いの職を転々として全米を放浪する。旅の中で、ファーンは同じ境遇の人々と交流を深めていく…というお話。

家を持たずに車に寝泊まりし、行く先々で仕事をして旅を続けるノマドの人々の生き方を描いた映画。日本でもノマドワーカーとか言うし最近は結構よく聞く言葉だけど、ノマド(nomad)は遊牧民という意味。

 

大事件はなく淡々と

この映画で、あっと驚くような大事件は起きず、自由だけど厳しくもあるノマドの人々の生活を淡々と描いている。その中で描かれる日常は「こんなシーンまでいるか?」と思うような生活感溢れる描写が丁寧にされていて、観ていて自然と自分もこの映画の中に溶け込んでいくような感覚になった。

だからこそ登場人物の心の傷や悲しみに触れたときに深く感情移入して思わず涙腺を刺激される。ファーンが出会うひとりひとりのノマドの人々は、それぞれノマドという生き方を選んだ事情があって、深い喪失感や悲しみを抱えている人も多い。その一つ一つに触れるたびに幸せって何だろうな~と考えたりして、いちいち感傷に浸ってしまった。

 

ノマドになりないとは思わないけど

私はtwitterでは仕事についてボヤいたりしながらも今やっている仕事は好きだし、自由なノマドの暮らしに憧れた部分はあるものの、やっぱり家族がいる家があってそこで生活をする方が自分には向いてるなと思った笑

ただ、この映画の本質はノマドの是非ではなくて、描かれた人々が抱えているような喪失感や悲しみについて「それで良いんだ」と優しく包み込んでくれるような温かさじゃないかな~という気がする。内容的にはそこまで私の好みにハマっている映画というわけではなかったけど、観た後にじわっと心が温かくなるような感覚になる爽やかな映画だった。


投稿者: wakky

映画と旅行が大好きなエンジニア。お酒、ゲーム、読書も好き。

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