満足度: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
レビュー
※結末についてハッキリとしたネタバレはありませんが、映画の展開やシーンについて触れています
人種問題に真っ向から殴り込んだストーリー
白人至上主義者のデレクは車を盗もうとした黒人を殺害し、3年間投獄された。兄を崇拝し白人至上主義に傾倒していたダニーは、3年後にデレクの出所を喜ぶが、デレクは考えを改め別人のようになっていた。白人と黒人の血で血を洗う抗争から弟のダニーを引き離そうとするデレクだったが…というあらすじ。
人種問題に真っ向から殴り込んだような攻めたストーリーに引かれて観賞。大統領選でまた最近問題が浮き彫りになったりして、本当にアメリカの人種の問題って根深いよな~なんてボンヤリ考えながら観た。
印象的な映像表現と説教臭くないメッセージ
シリアスなストーリーだし強いメッセージが込められているように感じたけど、スリリングな展開が多くてドキドキしながら観ることができた。デレクの心変わりした背景もしっかりと描かれていて無理がなく、映画にしっかりとのめり込めた。
印象的だったのが、ところどころ映画が白黒になる映像表現。最初は単純に過去の回想シーンで白黒になってるのかと思ったけど、白人と黒人の対立シーンや、獄中でデレクが黒人と邂逅するシーンなど、映画の要所要所で白黒になっている。白黒だと白人と黒人の肌の色がわかりにくくなるので、肌の色が違っても人間同士なのに争う悲惨さや、逆に肌の色は関係なく友人になれるというメッセージを強めるための映像表現なのかなと思った。人によって解釈は違うと思うけど、色々と考えがいがある。
ラストはショッキングだけど
いつものごとく結末はハッキリとは書かないが、なかなかショッキングな結末で「マジかよ…」と思わず呟いてしまった。ただ、安直なハッピーエンドで「みんな幸せになりました、めでたしめでたし」という結末だったら「そんな簡単な問題じゃねーよ」と白けてしまう気もするし、この映画をきっかけに考えてくれ、というようなメッセージにもとれる。
あまり気軽にみられる内容ではないけど、いろいろと自分の中で考えが膨らむ、みごたえのある映画だった。