満足度: 7点/10点満点 ★★★★★★★☆☆☆
(※結末についてネタバレはありませんが、映画内のいくつかのシーンについて触れてます)
あらすじ
ロサンゼルスでボクシングジムを経営するフランキー(クリント・イーストウッド)は、タイトルマッチ挑戦寸前の有望選手を他のジムに取られ、意気消沈していた。 そんななか、ひとりの女性が彼のもとを訪れる。
感想
私はこの映画について大きな勘違いをしていた。貧困層の女性がボクシングによって成功するサクセスストーリー。……だと思っていたが、ある衝撃的な事件をけっかけに、物語は非常に重たくシリアスで「生きる」とは何か、ということがテーマになっていく。見始めるときは気楽な気持ちで見ていたが、見終わった後すこし疲れた。
出てくるキャラクターはみんな個性的で、心理描写も丁寧。シリアスなテーマを映画に落とし込むのは非常に難しい。テーマが深刻な分だけ、陳腐な演出をしてしまうとそれが目立ってしらけてしまう。ただ、この映画は多少無理やりかなと思うところもあったものの、陳腐にならずにしっかりと問題提起できている映画だと思った。
まず私自身ボクシングをかじっているので、序盤のサクセスストーリー部分は素直に楽しめた。しかしタイトルマッチに関しては、ダウンしている相手をあからさまに殴るのはちょっとリアリティ無い気がする。また、例の衝撃的なシーンに関しても、ゴングがなっているのにランカーがあんな行動を取るってことは流石にないだろ~と。
まぁ正面から打ち合ってああいう状態になることはボクシングではあまりないし(試合後に脳挫傷や脳出血で亡くなるというのはあるが)、ストーリー展開上仕方ない気もするけど。
個人的には、ボコボコにされてジムを去ったデインジャーの再登場が印象に残る。基本的に救いがない話だが、思いもよらないとこで登場し、どことなく希望を感じさせるような爽やかさを与えていると感じた。デリケートなテーマの映画だが、この映画がキリスト教徒が多いアメリカで高い評価を得たというのも面白い。