満足度: 3点/10点満点 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
(※結末についてネタバレはありませんが、映画内のいくつかのシーンについて触れてます)
あらすじ
庭に伸びる一本の木を囲むように建てられた、住宅街の片隅の小さな家。
そこに暮らす甘えん坊の「くんちゃん」に、妹ができた。くんちゃんは優しい両親に見守られつつも、両親の愛を妹の「みらいちゃん」に奪われて不満がつのり、ある日みらいちゃんの頭を叩いてしまう。
母親に怒られ、ますますフラストレーションがたまるくんちゃんだったが、ある日、庭の木のそばで制服姿の少女が現れる。彼女は、くんちゃんのことを「お兄ちゃん」と呼ぶのだが……。
感想
率直に書くと、あまり面白くなかった。まず、ストーリーが不明確なまま終盤まで話が進んでしまうので、完全に置いてけぼりをくらう。話の大筋が理解できないままに、人様の家庭の子育てを延々と見せられるので結構退屈な展開。
たまに起こる不可思議な出来事も、説明も何も無いのでイマイチ意味がわからず。
あと、くんちゃんというキャラクターに違和感があり、感情移入できない。まず声。年齢に対して声が大人すぎて不自然に感じる。声自体は綺麗なんだけどね。キャスティングミスだと思う。他の子どもたちの声は年相応に聞こえたので、余計に不自然さが目立つ。
くんちゃんの描写は特に力が入っているように思えたが、むしろそこに注力しすぎて話がぼやけている気が……。結局、くんちゃんというキャラクターを通して何を伝えたいのかわからないまま映画が終わってしまった。
タイトルの未来のミライちゃんも、結局何しに来たかよくわからず、ゴロの良さでタイトルを付けたような印象を受ける。時をかける少女のような、興味をそそられたり想像が膨らむストーリーラインは無く、次々起こる謎現象を押し付けられている感覚を感じたまま、エンディングを迎えた。
設定もガバガバで、未来の人と現代の人は同時に存在できなかったはずなのに、後半何事も無かったように設定が破られる。犬の擬人化も必要な設定だったのか疑問。話の本筋にあまり関係ないし。
ボロクソに書いたけど、良いところもあった。自転車に乗るシーンや、ひいおじいさんの戦争のシーンと結婚のエピソードはジーンとしたし、家族の歴史を感じられる終盤の展開は悪くない。背景の描写は綺麗だし、近未来の東京も、リアルさと不気味さが混じり合っていて面白い。
あと、山下達郎の歌がとても良い。特にオープニング曲は、明るい曲調ながらノスタルジックな雰囲気もあって、とても素晴らしい。映画の一番最初にオープニング曲が流れたところが、この映画のピークだったかも……笑
全体としては、観客のことは特に考慮せずに監督がつくりたいものをつくったのかな~という印象を受ける。映画を撮るにあたってそういう姿勢は全然あっても良いと思うんだけど、あれだけ宣伝して、豪華俳優を声優として使った映画にしては、あまりにエンターテインメント性が低い。
細田守監督の作品は好きなものも多いだけに、少しガッカリだった。