満足度: 8点/10点満点 ★★★★★★★★☆☆
レビュー
※結末についてハッキリとしたネタバレはありませんが、映画の展開やシーンについて触れています
特殊な能力を持つエロイーズがロンドンの過去で見た恐怖
ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、念願かなってロンドンのデザイン学校に入学する。しかし特殊な能力を持つ彼女は、ソーホー地区の片隅の古びたアパートでの夢の中で、60年代のソーホーを追体験する。
そこで歌手を夢見る魅惑的なサンディに出会い、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。しかしサンディは徐々にソーホーの闇に飲み込まれ、やがて取り返しのつかない事態に発展する。エロイーズは精神を蝕まれながらもサンディの事件の真相を追うのだが…というお話。
公開当初に気になっていたものの観れずじまいで上映が終わってしまったのだが、今回Amazon Primeで発見したので鑑賞した。観る前からかなり期待していたのだが、期待を裏切らない面白さのサスペンス映画だった。
1960年代のロンドンの光と闇
過去にあったことを追体験できるという特殊能力を持つエロイーズが、現代と過去を行き来して事件に巻き込まれながらも真相に迫っていくというストーリー展開が面白い。現実世界で憔悴していくエロイーズは見ていて痛々しくもあるが、徐々に明らかになっていく事実に目が離せなくなる。
1960年代で、エロイーズも夢中になった最初のサンディの煌びやかさから、一転してソーホーの闇に落ちていくサンディのコントラストが印象に残る。
あと個人的に印象的だったのが、マット・スミス演じるクラブのマネージャー・ジャックの演技。私はマット・スミスといえばモービウスの悪役の印象が強いのだが、この映画でもイケイケの悪っぷりを発揮しており、観ていて憎らしいけどどこか吹っ切れた爽快感のようなものを感じて、かなり板についた演技だった。
ラストは予想を外してくる展開
詳しくは書かないが、ラストは「そうきたか!」と思わせる展開。といっても似たような展開は少し脳裏をよぎっていたので度肝を抜かれた!というほどではないが、私がミスリードしていたこともあって、してやられた…という感じ。感が良い人なら気づくかもしれない。
ラストを知ると途中で出てきた亡霊達もまた違った目線で観ることができるし、2回観ても面白いと思う。少しショッキングなシーンもあるがそこまでグロいわけではないので、サスペンス好きな人にはオススメできる作品だった。