満足度: 9点/10点満点 ★★★★★★★★★☆
(※結末についてネタバレはありませんが、映画内のいくつかのシーンについて触れてます)
あらすじ
日本の現状を憂い、ネオ・トージョーなるナショナリスト結社を結成した若者3人。彼らは渋谷を荒らす奴らを暴力により”浄化”していくが、やがて暴力団に目を付けられ、陰謀渦巻く抗争に巻き込まれていく。
感想
まずキャストが良い。やっぱり窪塚洋介は、こういういかれた役をやらせるとすごくハマる。”消し屋”を演じる江口洋介も、普段はひょうひょうとしつつ、淡々と殺しを実行する演技がとても冷酷に見え、怖さを感じた。
意外に良かったのが須藤元気の演技。棒読みっぽい部分もあるけど、そのぶん感情が読みにくく何を考えているかわからない雰囲気があり、ムキムキの体と相まって本当にヤバい奴に見える(笑)
ストーリーも緊迫感があって、先が読めない展開で良かったが、映像にもかなりのこだわりを感じた。横断歩道で、黒い服装ばかりの群衆に向かって、真っ白な服の窪塚が歩いていくシーンはコントラストが効いていて、窪塚の異質さが際立つ演出になっていた。
あと、反対車線が渋滞なのに対して、車でガラガラの道路を走っていくシーンも何となく印象に残った。我が道を行く、っていう言葉を映像で表現したのかなと。
途中で入る仮面ライダーの演出や、終盤のRIKIYAが消し屋になるシーンで、RIKIYAと江口洋介とめまぐるしく入れ替わる演出も面白い。BGMにはキングギドラやK-DUB SHINEなど、日本のハード目なヒップホップが多用されているけど、それも映画の雰囲気に合っていた。
ラストシーンはやるせない気分になるが、まさに”怒り”を感じる窪塚の演技は迫力があって印象的。エンドロールの後のシーンでさらに悲しくなったが、儚く散る「桜」を思わせる終わり方だったようにも思える。
激しい暴力シーンや性的なシーンもあるので、万人受けはしないかもしれないが、暗くて深い、一風変わった傑作青春映画だった。