満足度: 5点/10点満点 ★★★★★☆☆☆☆☆
(※結末についてネタバレはありませんが、映画内のいくつかのシーンについて触れてます)
あらすじ
大阪のとある広場でのライブ中、記憶を失った謎の男(渋谷すばる)が舞台に乱入し、歌を披露する。彼の並外れた歌唱力に興味を抱いたバンドとマネージャーのカスミ(二階堂ふみ)は、「ポチ男」とあだ名を付けて、スタジオで働かせることに。やがてバンドのボーカルとなったポチ男だったが、喪失した過去の記憶を徐々に取り戻し……。
感想
普段邦画を映画館で見ることはあまり無いが、タイムスケジュール的にちょうど良かったので観た。しかし、なぜかやたら女性が多くて肩身が狭い……。恋愛映画ってわけでもないしなんでだろう、と思ったんですけど主演の渋谷さんが関ジャニの方なんだね。芸能界には疎いので知らなかったが、なかなか良い演技だと思った。
作中のオリジナルの曲も良かったし、最初にアカペラで歌った「古い日記」がかなり迫力あった。あと二階堂ふみのちょっと生意気な感じの演技も男心をくすぐられる。ただ物凄く演技がうまい女優さんだと聞いていたが、個人的には普通かな~と思った。作品によって違うのかもしれないけど。
ストーリーも最初は良かった。刑務所での印象的な始まり方からの襲撃、そして記憶をなくしてステージに乱入してからの力強い歌。渋谷さんへの二階堂さんの(二人の役名は忘れた)感情が不信感から信頼に変わるまでの過程も丁寧に描かれていたと思う。また、謎がだんだん解き明かされていってどうなるんだろうというドキドキ感もあった。
しかし・・・終盤の展開が少しお粗末だったかな。渋谷さんの正体が案外大したこと無かった。歌唱力抜群である理由も微妙。あと特に最後! 何の説明も無く、あるシーンからライブの楽屋に移ったときに全く説明が無いのは少しひどい。あの状況を打開する描写は端折ったらいかんでしょ。架空の物語にいかに自然にお客さんを感情移入させるかも映画監督の腕の見せ所だと思うので、もう少し頑張って欲しかった。
それと最終的に渋谷さんがステージに出てきてノリノリで歌っていましたが、記憶を取り戻して心が離れてからどうやってその心境になったのかの心理的な描写があまりうまいとは思えなくて、ご都合主義に感じてしまった。もちろんステージで歌うシーン自体はとてもいいが、そこに至る過程をもっと丁寧に描いていればもっと良く感じられたのに残念だな~と思う。
全体として役者さんの演技や作中の大阪の雰囲気は良いのに、ストーリーが竜頭蛇尾で惜しい映画だな、と感じた。